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2012.02.28

ICT活用教育セミナー

放送大学主催のICT活用教育セミナー「モバイル技術を使った新しい学びを考える」が,2012年2月25日(土)に放送大学付属図書館3FのAVホールにて開催された.

本セミナーでは,モバイル技術を用いた学習支援システムに関する4件の講演があった.

1件目の徳島大学の緒方広明先生の講演では,モバイル機器の教育利用は,(1)教室での学生の理解度調査などをするクラスルームレスポンスシステム,(2)学習内容を学習者自身が模擬体験する参加型シミュレーション,(3)学習者個々人が収集したデータを全員で共有して学習を進める共同データ収集の3タイプに分けられることが示された. また,緒方先生の開発したLearning LogシステムSCROLLについての紹介があった. SCROLLは語学学習のために用いる. ユーザはモバイル端末を使って,覚えた単語とそれに対応する写真をその場で,Learning Log Object(LLO)としてサーバに登録する. LLOをユーザ間で共有して,ユーザのコンテキスト(現在地や前回学習からの時間)に応じてクイズが出題され,単語を思い出させて記憶の定着を図る.

2件目の九州大学の殷成久先生の講演では,参加型シミュレーション学習のためのSPSML(Scaffolding Participatory Simulation for Mobile Learning)フレームワークの紹介があった. SPSMLフレームワークのコンセプトは,参加型シミュレーション学習において,学習初期段階ではヒントなどを提示して学習をサポートし,徐々にそのサポートをなくしていき,最終的に学習目標に到達させるというものである. このフレームワークに沿って,日本語待遇表現の学習のためのJAPELASというシステム,アルゴリズム学習のためのALGOSというシステムを,いずれもPDA向けに開発し,それを用いた教育の試みについて報告があった.

3件目の放送大学の葉田善章先生の講演では,放送大学で稼働中のモバイル学習システムについての紹介があった. このシステムは携帯電話向けに講義ビデオを配信するシステムである. iTunesやYoutube Eduなどの他のモバイル端末向けの講義ビデオ配信システムと比べると,テロップ機能,動画と黒板などの静止画との切り替え機能,外部コンテンツへのジャンプ機能などの学習を支援する機能を備えつつストリーミング配信をしている点が特徴的であることが示された.

4件目のセーバー株式会社の石口武弘氏の講演では,スマートフォン向けのサービス構築のために抑えるべきポイントの紹介があった. スマートフォン向けのサービス構築のためには,アプリとWeb,その2つの組み合わせという3種類の手段があり,開発前には,これらを機能,コストという観点で検討した上で選択すべきことが示された. また,種々のスマートフォンの実機によるテストがサービス提供の成功には不可欠であり,そのテストのポイントとしては,機種ごとのノウハウを整理しておくこと,テスト専門の業者にアウトソースする選択肢も検討することがあるとのことだった.


報告者:古川文人